包装・物流用語集

「REACH規制」


Registration(規制), Evaluation(評価), Authorisation(登録) and Restriction(薬品) of Chemicals(化学)の頭文字を語源とするREACH規則は2007年に成立したEU向け製品の化学物質に関する規制です。

成立の経緯としては、持続可能な開発を目的にした世界的な行動計画「アジェンダ21」や人や環境に与える悪影響を最小化する化学物質管理指針「ヨハネスブルク実施計画」等の採択を経て、化学物質を適切に管理するための国際的な枠組みの発展がその背景にあります。

REACH規則の法令上の立ち位置は、EU加盟国が国内法を定めて運用を行う「Directive(指令)」とは異なり、 加盟国にそのまま適用される「Registration(規制)」になります。このことから日本語では「リーチ規制」と呼ばれているのでしょう。

日本の事業者への影響ですが、EUへの輸出製品、日本企業のEU現地生産品はREACH規則への対応が必要になります。また、注意が必要なのは、部品などを日本国内で製造しており、その部品自体はEU向けに輸出を行っていないとしても、その部品を使用した完成品がEUへ輸出された場合、規制の対象となってしまう可能性があるという点です。

尚、同じようなEU主導の化学物質規制として「RoHS指令」がありますが、違いを端的に表現すれば下記のようになります。

*RoHS指令…
ある程度限定された物質を対象とした「ハザード発生時対応(本来、あってはならない事態が発生したら取り締まる)」としての枠組み。対象は10物質であり、企業内簡易設備でもスクリーニングは可能で比較的管理しやすい。

*REACH規制…
「有害性があると疑わしき」ものも含め、膨大な化学物質を対象とした、「ハザードの発生を未然に防止しようとする」枠組み。対象は224物質にのぼり、現在も更新ごとに随時追加されている。専門的な分析が必要なものもあり、企業内管理は困難。また、含有の有無を禁止する主旨のものではなく、含有の総量を管理し、届出を要求する仕組みであることも特徴。