研究用薬剤輸送用
高機能&コンパクトなディスポ保冷箱

今回は緩衝包装設計ではなく、弊社のもう一つの業務領域である、保冷資材分野に関する事例です。今回は、個人向けの研究用の薬剤を取り扱うメーカー様からのご依頼。このメーカー様では、製品を国内各地にある研究施設に低温輸送するため、30㎜厚の高品質な発泡スチロール箱を使用されていました。しかし、国内でも環境配慮型包装への意識が日増しに高まる中、SDGsのお取り組みの一環として、現行資材を見直されることとなりました。
我々がご提案したのは、原料の50%以上を植物由来成分に代替した新素材『エルココ®フォーム』。ただの素材変更だけでなく、コスト、環境性能、保冷性能、作業性などを複合的に考慮し、最適な提案を形成しました。

課題1・2を受けた当初ご提案内容

課題1:環境性能の向上
課題2:保管スペース削減と処分性の向上

初回のヒアリングの段階で、現行品とその運用現場を詳しく見学させて頂きました。現行品は規格品のスチロール箱を利用されており、梱包物の平均的なサイズに対してかなり大きなサイズのものであることに着眼。箱全体のサイズをまずは一回り小さなものに設計しなおしました。
エルココ®フォームの保冷箱は、右下写真のように、保管時は平らに折り畳んでおくことができるため、弊社からのご納品の際や、保管時にも省スペース化を図ることができ、トラック便数、在庫場所の削減など大きなメリットをもたらします。
また、対象の輸送温度帯のマイナス30℃を担保するために、最低限必要な厚みを性能試験にて算出。比較的熱伝導率の低いエルココ®フォームであれば、現行品の三分の二の厚みでも、当該温度域を維持できることから、断熱材使用量についても大きく削減することができました。
この結果、下表に示す通り、非常に多面的なメリットをもたらす複合的なご提案が実現しました。

項  目 改 善 効 果
保管時体積 6割減少
輸送コスト/便数 1/3に削減
プラスチック使用量 7割削減
ドライアイス使用量・コスト 1/2に削減

しかしその後、追加のご要望が…

業務全体の見直しを視野に入れた追加のご要望

課題3:「さらに」低コスト+省スペースに。

初回のご提案内容は大変好評を頂き、現行品からの切り替えにGOサインを頂戴することができました。しかしその後、研究施設などの限られたスペースにおける利便性をさらに高め、段ボールよりも低コストな外装材を検討したい、とのご要望がありました。
極薄の段ボールやコートボール製外装なども選択肢に加えて再検討を行いましたが、最終的にはコストパフォーマンスとコンパクトさ、そして強度を兼ね備えた、「クラフト紙外装」タイプをご提案。段ボールタイプよりもさらに保管時スペースを3割削減し、さらに外装資材コストを6割低減するという非常にユーザーメリットの大きな仕様にブラッシュアップすることができました。

第一案の段ボール外装タイプと比較して…
項  目 改 善 効 果
保管時体積 さらに約3割減少
外装資材コスト 6割削減

開発担当者からのコメント

急速に進む海外での発泡スチロール規制の影響もあってか、国内でも、従来のスチロール製魚箱や保冷箱に替わる素材として、当社で開発したエルココ®フォームを検討したいというお声掛けが非常に増えてきました。しかし、環境配慮意識の高いお客様であっても、やはりコストや使い勝手の良さから、従来の資材を使い続けるというケースが多いのも事実です。弊社では今回の事例のように、環境性能を高めながら、コストや生産性にも寄与できるような複合的なご提案を常に心がけております。環境配慮型の保冷資材、緩衝材をご検討の際は、ぜひ一度、ご相談ください。

お電話でのお問合わせをご希望の方は… 042-557-0253