包装・物流用語集

「せん断抵抗力」

読み方:せんだんていこうりょく

緩衝設計の現場で時折耳にする「せん断力」というコトバ。聞きなれないキーワードなのでイメージが湧きにくいかと思いますが、要は「あるモノに対してお互いに逆向きに伝わる力」を指します。鋏で紙を切るときの力が、まさにこれに当たります(図1)。このとき、鋏が持つ力を「せん断力」、物体がこれに逆らおうとする力を「せん断抵抗力(図2)」と呼んでいます。

図3は、ある製品の緩衝材。右の画像では、落下などの際に製品から緩衝材へと、加速度(G)が加わる様子を示しています。この時、製品への衝撃を和らげるためには、薄いオレンジの面の緩衝材が十分に沈み込んでやる必要があるのですが、両脇の壁のような緩衝材が、このせん断力に対して抵抗してしまい、うまく衝撃を吸収できないことがあるのです。図の緩衝材のケースでは、設計途中で許容衝撃値がシビアになったこともあり、少し手を加えなければならなくなりました。

このようなときは、沈み込みを妨げる「壁」の部分の緩衝材を、部分的にけずりとってやります。図4のような突起部分(リブ構造※)を残し、周囲を削り取ることで、沈み込みを妨げるせん断抵抗力を和らげ、発泡体本来の柔軟な性能を発揮させてやるのです。